八戸市の三浦建設工業は、建築物の骨組みになくてはならない鉄骨の製作などを手がける。製品は東日本を中心とした建設現場に供給され、インフラや経済などを支える重要な建築物にも使用されている。「和と創造」を社是として掲げ、今年で110周年を迎える同社。4代目である代表取締役社長の三浦統巨氏(38)に、会社の強みや今後の展望などを聞いた。
│事業内容と強みは。
建築鉄骨の製造と総合建設業の2本柱で展開している。鉄骨に関しては、青森県ではナンバーワン、東北地方でも5本の指に入るぐらいの規模感で事業を行っている。社会生活や経済に欠かせない公共施設、工場やスーパー、空港など地域のランドマークとなるような大規模建築の骨組みに使用されている。
事業の強みは地域特性を生かしている点。本社工場の敷地面積は東京ドーム約2個分の約8万9千平方メートル。この地域の土地の広さを生かし、材料が入って製品となるまでの工程が一直線で流れるような工場となっており、品質やコストなどの管理面で優れている。
完成した製品を置くヤードも広く、顧客の注文に対して即座に出荷が可能。また、物流の2024年問題やモーダルシフトに対応し、八戸港を活用した海上輸送の取り組みも行っている。商圏が東日本と広い分、競争環境が激しいが、最新設備を導入するなどして競争力を維持している。総合建設業は県内民間施設の新築や改修が中心だ。
│業界の現状は。
建設の需要は一定数ある一方、技能者不足や働き方改革による工期の制約が出ている。資材や人件費、外注費、エネルギーコストの高止まりが続く中、収益性確保が大きな課題だ。
国内の鉄骨需要量自体も減少傾向で、直近は年間400万トン割れが続いている。価格をたたかれても、量でカバーするような経営は難しくなっている。今後は付加価値の高い仕事を安定的に取れるかが鍵。弊社は品質保証に関する案件を多くこなしてノウハウを蓄積しており、その部分を強みに品質対応で差別化している。
│抱える課題は。
最大の課題は人材確保。現状は日本人100%で、新卒も毎年平均3~5人が入社してくれている。離職率も高くなく、平均年齢は39歳と若返りが進んでいる。ただ、採用数は年度による波があり、労働人口の減少を見据えると確保は今後さらに難しくなりそうだ。
│課題解決のための取り 組みは。
働きやすい環境整備として、完全週休2日制の導入や事務所全面リフォームなどのほか、女性にも配慮した職場づくりを行っている。加えて、受験料や旅費を会社が全額負担する資格取得の助成や手当でスキルアップを支援している。
また、業界を知ってもらう取り組みとして、NPO法人「地域活性化教育支援ネットワーク(REN)」と連携して、中学生の企業見学を年間5、6校受け入れている。私たちの仕事への理解を促進しつつ、今後のキャリア形成の一助になればいいと考えている。
│今後の展望は。
軸は本業を強くすることだ。県外へ製品を供給して“外貨”を獲得し、納税などを通じて地域へ還元することが重要な役割。事業を頑張れば頑張るほど地域貢献につながると思う。
地域の持続可能な発展を目指すという意味では環境経営にも力を入れている。環境負荷の低い鉄骨づくりにも励んでおり、付加価値の創出にいずれつなげられたらと考えている。省エネは固定費削減にもつながっており、鉄骨の加工トン数1トン当たりの消費エネルギーは21年と比較して50%以上削減した。
今年で110周年を迎える。その歴史の重みは感じており、受け継いできたバトンを次の100年につないでいくためにも、しっかり考えてやっていきたい。
会社概要
1916年5月に三浦鉄工所として創業。53年に株式会社化し、84年に現在の社名へと変更した。資本金5千万円。本社は八戸市鮫町高森30の8。年間の売上高は約70億円。従業員数は95人(2026年2月現在)。建築鉄骨の製造と総合建設業の2本柱で事業を展開している。
みうら・のりたか 八戸市出身。法政大大学院を卒業後、八戸市内の会計事務所などに勤務。2020年に三浦建設工業に入社。常務取締役を経て、昨年、現職に就いた。中小企業診断士の資格を持つ。
